桂林取材

キンモクセイの精油工場さんを取材させていただきました
担当者
「金木犀」(キンモクセイ)

桂林拓普香料有限公司

今回訪問させていただいた会社さんは「桂林拓普香料有限公司」。英語名「Guilin Four Seasons Sunshine Flavours & Fragrances Co., Ltd.」。この記事では桂林香料さんと呼ばせていただきます。

桂林香料さんのメインプロダクトは、金木犀のアブソリュート。

アブソリュートとは天然香料の一種です。香料は花や植物から採取しますが、採取方法によって大きく精油(エッセンシャルオイル)とアブソリュートに分かれます。

植物を水蒸気で蒸留して採取する香料が精油。これに対してアブソリュートはソルベント(溶剤)を使用して採取します。アロマテラピーではより天然にこだわるため精油を利用しますが、高温の水蒸気で香り成分が変質しやすい欠点があり、香水業界では、どちらかといえばアブソリュートが伝統的に多く利用されてきました。

そもそも水蒸気蒸留では、金木犀の精油は実用レベルでの採取が不可能と推測されます。そこで金木犀の天然香料といえば必然的に金木犀アブソリュートとなるわけですが、金木犀の天然香料を生産している会社さんは、おそらく世界に数社。

桂林香料さんはその大手です。直接、この質問をぶつけてみました。すると次のような返答でした。

「金木犀のコンクリートを生産している会社なら数社ありますが、アブソリュートとなると当社だけかもしれません」

またまた専門用語が出てきて恐縮ですが、コンクリートとはアブソリュートが生成される前段階の生成物です。香り成分以外、様々な成分(たとえば、ワックスなど)が含まれる物質で、天然香料としては半製品です。エタノールなどで香り成分のみをコンクリートから抽出したものがアブソリュートとなります。

金木犀は、観賞用としてヨーロッパや北米でも多少見かけますが、圧倒的に中国・日本に多く、金木犀の畑となると、もうこれは世界的に桂林周辺を含む中国南部に集中すると考えられます。

「金木犀の畑」とは花を採取するための畑です。中国では金木犀の花は、伝統的にそのまま乾燥してお茶やお酒の香り付け用フレーバーとして利用されますし、一部漢方薬にも利用されているようです。桂花から香料(アブソリュート)を生産し世界に輸出している会社さんが桂林香料さんです。