「ダマスク」というコトバの由来
古都ダマスカス
ダマスカスまたはダマスクスは、シリア・アラブ共和国の首都です。シリアは、世界的な古都で「世界一古くから人が住み続けている都市」とも言われます。
チュニジアのジャスミン革命(2011年)の影響を受け、アサド政権のシリア政府軍と革命派の武力衝突がはじまりました。
現在では、IS(イスラミック・ステイト)、さらにクルド人勢力を含む多様な勢力による事実上の内戦状態にあり、都市としてのダマスカスは危機的状況にあります。
「ダマスクローズ」は、この古都ダマスカスから命名されました。
また、ダマスカスから命名された言葉に「ダマスク織り」があります。
ダマスク織りとはシルク(絹)をはじめ羊毛や綿で繊細な模様が両面に織り込まれた布またはその技法を指します。
アラビア絨毯を思い浮かべるとイメージしやすいです。あまりにもすばらしいためシルクロードに乗って東西に運ばれましたが「ダマスカスから来た織物」という意味で「ダマスク」と呼ばれるようになりました。
シルクロードの西の基点は、シリアのアンティオキアと言われます。
この街は、ダマスカスに近い北方の街で、シルクロードの起点・終点であり、ローマ・地中海エリア、そしてヨーロッパへの交易の起点・終点になっており、東西交易の要の都市でした。
この意味で、ダマスカスは古来、東西世界・東西文化が交差する中間地点だったと言えます。
ヨーロッパに渡ったダマスクローズ
ダマスクローズは、1200年代、十字軍の Robert de Brie という人がペルシアから持ち帰ったとされます。
現地名が存在したと思われますが、ダマスクローズは、そのバラに対して命名された言葉とされています。
一説にローマ人がイングランドに持ち込んだバラが、ダマスクローズの由来という説もありますが、どちらも「ダマスカスから来たバラ」や「ダマスカスのバラ」程度の意味です。
それまでヨーロッパにはなかった香りのバラだったため、ヨーロッパ人はその芳香に驚き酔いしれたことでしょう。
- (2017-08-12)
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