ダマスクローズと現代バラ
モダンローズ(現代バラ)とは
モダンローズ(現代バラ)とは、人による人為的な交配を高度に繰り返して生まれたバラの新品種です。
バラの歴史は、5千万年くらい前に生まれたとか、5千年前くらいから人々が栽培をはじめたのでは、くらいのアバウトな推測があります。
しかし、ことモダンローズに関しては、いつからこのバラが生まれたか明確になっている点がおもしろですね。
現代バラ元祖「ラ・フランス」
モダンローズ第1号は、フランス・リヨンの育種家ジャン・バティスト・ギヨ・フィス(Jean-Baptiste Guillot fils、1827年-1893年)により発表されたバラである「ラ・フランス」。
1867年のことでした。四季咲きでお茶の香りがすると評判になりました。
ハイブリッド・ティーローズ
モダンローズは、別名「ハイブリッド・ティーローズ」と呼ばれますが、その意味は、「ティー系」(お茶系)の香りのバラとのハイブリッド型ということでしょう。
ラ・フランスは、中国原産のロサ・キネンシス(四季咲き性)とロサ・ギガンティア(剣弁咲き性とティー香)との配合で生まれました。
ティー香はそれまでヨーロッパのバラには存在しなかった香りで当時のヨーロッパ人達は感動で感涙したと思われます。
衝撃的なラ・フランス以降、バラといえば、ハイブリッド・ティーローズが主流となり現代まで面々と続いています。
一方、ヨーロッパの伝統的なバラであるダマスクローズなどは、「オールドローズ」と呼ばれるようになり、存在感が薄れていきました。
モダンローズから香水はできない
モダンローズ全盛のバラ界ですが、ティー香はすばらしいものの、ダマスクローズの妖艶な芳香とはパワーが違います。
また、モダンローズからエッセンシャルオイルなどを採取することが技術的・商業的に不可能なため、香水やフレグランスの原料としてモダンローズが利用されることはありません。
つまり、香水の原料、あるいはスキンケアの原料といえば、バラとしてはオールドローズが圧倒的に主流です。
- (2017-08-12)
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