創業者の古い写真
古い写真
蒸留所で最初に案内された部屋は、蒸留所内に作られた小さな自営博物館でした。
8畳ほどの部屋にはオイルを入れたクンクマや初代ボンチェフ氏が使用したボロボロの手提げ鞄などが置かれていました。壁には白黒の写真が何枚も飾ってあります。
「これがボクの一番好きな写真です」
といって指さした写真はボンチェフ氏が英国の取引先家族といっしょに写っていました。
かわいい小さな英国娘も写っています。良好の取引関係が伺えます。
なぜそれが一番のお気に入りなのかF氏は説明しませんでしたが、遙か(当時は彼らにすればオリエント急行で行くかなり遠い外国だったでしょう)。
フランスやイギリスまで出かけていき大きくビジネスを展開した初代ボンチェフ氏のベンチャー精神に彼自身共感するものがあるのかもしれません。
「これらはおばあちゃんの家で見つけたものです。こういう写真が残っていることはかなり後になるまでわかりませんでした。」
この蒸留所さんの現社長であるD氏とその後継者F氏が蒸留所を再開したのは1992年。
それまで自分の祖先がブルガリア屈指の蒸留所を運営し西洋諸国と大きなビジネスを展開していたことをおばあちゃんは、子供達にさえ話すことはありませんでした。
それはブルガリアが第二次世界大戦後に共産主義国家となり工場が政府に没収されて以来、過去を話すことさえ憚れたという辛い時代と関係があるようです。
- (2017-08-12)