ダマスクローズの北半球と南半球
現代バラとオールドローズの境目は、ちょっと微妙
1867年作出のバラ「ラ・フランス」以降を「モダンローズ」、それ以前のバラを「オールドローズ」と呼ぶことが一般的ですが、実は研究者の間でも意見は様々。
というのは、17世紀には、中国のロサ・キネンシスや日本のバラ(ノイバラと思われる)など東洋のバラが、ヨーロッパにもたらされた時点で品種改良が始まっていました。
また、1800年頃、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌが、マルメゾン宮殿にて世界中のバラの収集と品種改良を行っており、多くのハイブリッド・ローズが作出されていたと考えられます。
1812年のNoisette(ノアゼット)、1817年のBourbon(ブルボン)は、なんとなく現代バラのイメージですよね。
1867年の「ラ・フランス」を境界線にする案はNPO「アメリカバラ協会」(ARS、American Rose Society、アメリカン・ローズ・ソサエティー)が発表したことで、世界に広まったと考えられます。
しかし、1800年代のはじめには現代バラと言えるようなバラが出現していたというのが実情かもしれません。
原種バラ(ワイルドローズ、スピーシーズローズ)とは?
ダマスクローズは、バラの原種の一つです。ところで、「原種」って何でしょうか?
一言で言えば、人為的な改良などが施されていない種類の植物を指します。
自然環境の元で原種同士が交配しても、それが人の手に寄らない限り、それらもやはり「原種」になります。もっと詳しくは、Wikipediaから引用します。
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品種改良や種間交配が行われて園芸品種が作られた場合に、野生種(Wild species)をさしてこう呼ぶ。
栽培種が改良される前の、野生のときのままのもの。また、全く改良されていない植物のことを言う。
改良種(交配種)に比べると、花や果実が貧弱だったり、花の色がくすんでいたり、花付きがまばらあるいは一時期しか咲かないなど、改良種に比べて劣る部分が多いが、丈が低く、野趣に富んでいることから、原種を愛好する人もいる。
国外の草花でも、原種やそれに近いものは山野草として流通する例もある。
チューリップの原種は、花は小さいが、花弁が非常に長いもの、葉に模様があるなどのものがあり、また、シクラメンの原種は鉢物になっている園芸種に比べて丈夫で、香りのあるものもある。
バラの原種は、四季咲き性こそないが、花も立派で豊か芳香を持つものがかなりある。
また、一般に栽培種より様々な悪条件に耐える性質が強く、そのため、これをあらためて品種改良の素材とする、あるいは交配親とするなどの例もある。
一般に、品種改良は、その過程で特定の性質のものだけを選び出すため、原種の持つ遺伝子の多様性を著しく失う傾向がある。そのため、新しい性質を求める場合には原種から探すのが効果的な場合も多い。
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バラの原種は200種類
バラの原種は、約200種類と言われています。
すべて「北半球」で生育し、「南半球」にはもともと原種バラは生育していなかったと考えられています。
その理由は不明ですが、もしかしたらヒマラヤあたりで生まれたバラが世界中に拡散する課程で、その当時北半球と南半球は繋がっている部分がなかったのかもしれません。
プレートテクトニクス(プレート理論)では大陸は常に移動しているそうなので、たまたま繋がっていない時代にバラは南に行けなかったかも?なお、人々の移動が簡単な現在では南半球にも様々なバラが生育していることは言うまでもありません。
日本にもバラの原種は数種類あります・・・ハマナス(ハナマシ、Rosa Rugosa)、タカネバラ、テリハノイバラ。これらは現在バラの祖先として重要な役割を話しています。
- (2017-08-12)
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